聖帝サウザー編

  ラオウ登場!

 聖帝サウザーの部下を黒王が踏み潰すというショッキングなオープニングでスタートした
 今回。

 そこに見えるのは聖帝十字陵。聖帝の権威を誇示せんがための、ピラミッド型の古墳です。

 サウザーは労働力として主に子供を起用しています。これは反逆する大人より従順な子供
 を使うという理由で、決して少年が好きだからという理由ではありません。

 ラオウが拳王としてブイブイ言わせていた時は大人しくしていたサウザーでしたが、拳王
 失踪事件以来その本性を現したのでした。

 「聖帝よ、今のうちに走るがいい!俺はまた帰ってくる!」
 ポツリと言い残し、ラオウは立ち去るのでした。

 
 場面は変わり、母と子どもが聖帝の部下から逃げていました。

 家に入り、急いで地下室に子供を隠す母。

 ところがその様子を部下に見られてしまい、子供はさらわれてしまいました。

 しかし母の本当の狙いは、子供一人を犠牲にして、他に隠れていた子供を救おうという非情
 な決断だったのです。

 「さあもう大丈夫、出ておいで」
 母が地下室から子供たちを出したところ、運悪くもう一人のハイエナに見つかってしまいま
 した。

 五人の子供をまとめてさらおうとするハイエナ。

 そこへいつも通りちょっと遅れて伝承者がさっそうと現れました。

 ハイエナはケンシロウの眼光にビビったのか、半分やるよ、と友好的態度に出ます。

 「全部だ!」

 「え!?そりゃないぜ…これはもともと俺のもんだぜぇー」

 「全部だ!」

 
 

 これにはハイエナも銃を取り出さざるを得ません。

 死ねえ!と銃口を向けたところ、きっちり殴られてダウンしました。

 銃口を向けるケンシロウ!こ…この動きはジャギ!というわけではなく、銃を放り出して
 「失せろ!」と一喝し、背を向けました。

 怒ったハイエナは銃を拾い、ぶっ放そうとしますが、いつも通り事前秘孔で昇天しました。
 相変わらず先を読み切った行動が鋭い。

 この惨状を目の当たりにした母は、とんでもないのが来た!と震えますが、ケンシロウが
 フォローしてあげました。

 「一つ聞きたいことがある。聖帝とは何者だ」
 レイが死んでしまったので一般人から情報を得るほかありません。

 「聖帝とはあの世紀末覇者拳王すら戦うのを避けた男!」
 その答えは、確実に不遇の死を遂げる外見を持つ聖帝の部下が教えてくれました。

 

 「その男の拳なるゆえに拳王は天を握れずに終わったのだ! 
 その名は聖帝サウザー。この世の真の覇王となられるお方だ!」

 拳王伝説中座が聖帝に都合よく改竄されています。
 拳王阻止は俺の手柄だ、と頭に来たケンシロウはジェノサイドの用意をしますが、そこへ
 沢山の矢が飛んできました。
 
 射られる聖帝の部下たち。そこに現れたのは南斗白鷺拳の使い手、盲目の闘将シュウ!

 シュウは聖帝の部下を片付けると、問答無用でケンシロウに躍りかかりました。

 「南斗乱れるとき北斗現る。六星が乱れた時から私とお前は戦う運命にあったのだケンシ
 ロウ!」

 「南斗白鷺拳奥義、誘幻掌!」
 
 シュウは気配を消し、ケンシロウの背後から突きを繰り出しました。
 ケンシロウはなんとかこれをかわし、カウンターの裏拳を放ちますが、シュウのバク転蹴り
 を浴びせられます。さらに続く烈脚空舞はなんとかしのぎましたが、南斗聖拳に足技があっ
 てびっくりしました。

 「お前が初めて目にする拳法、さあどこまで逃げのびられるかな?」

 「俺は死なぬ。俺はある男に約束した!この時代を生き抜き、この世紀末に光を呼び戻す
 ことを!」

 「レイか…この世に光を求めた一人…だが…光は戻らぬ。この私を倒さぬことにはな!」

 「お前たちは北斗神拳が何故一子相伝の最強の拳法か知らない!それを教えてやろう!」

 果たしてその理由とは?

 答え言うようにケンシロウが出したのは、地を這い相手を切り刻む真空波!

 
 こ…この動きはユダ!

 「北斗神拳奥義水影心!北斗神拳は一度戦った相手の拳を己の分身とできる」
 ユダとは戦っていません。それどころかこの技を見てもいないはずですが、恐るべきは北
 斗神拳。

 「地面が裂ける音が目の見えぬお前には恐怖であろう。最早俺との間合いもつかめまい!」
 盲目の点を突いたケンシロウの頭脳プレー、要するにセコイわけですが、シュウはこれに
 すっかり参ってしまいました。

 
 
 ケンシロウはシュウをぶん殴りましたが、止めは刺しません。そのことをシュウが尋ねま
 した。
 「ならば聞こう、お前の技にはなぜ殺気がないんだ?」

 そこへリンとバットが現れました。シュウはリンとバットを助けてくれたそうです。

 「強い…レイが己を賭けたのがよくわかる。
 すまぬ。命を賭けねばあなたの力を知ることができなかった!」 

 「私はレイの親友仁星のシュウ…待っていたケンシロウ、あなたの来るのを。
 聖帝を倒せる唯一の男!北斗神拳伝承者を!」

 レイの親友シュウが仲間になった!

 さっそく流民の集団が襲われているという情報が入ったので、みんなでモヒカンを殺しに
 出かけます。
 また、ケンシロウはシュウに以前どこかで会っているような気がするのでした。
 
 
 シュウとケンシロウであっという間にジェノサイド完了。

 残ったモヒカンに対し、ケンシロウは聖帝はなぜ子供ばかりを狙うのかを尋ねました。

 「純真な子どもの血と汗によってのみ、聖帝十字陵は聖なる陵となるからよ!」
 むぅ、何やら趣味の色が濃くなってまいりました。

 シュウはこのモヒカンをスライスし、
 「今より輝こうとする子供たちの光を奪い去ることは許さん!」とお説教です。

 (子供たちの光を…こ…この男もしや!)
 今のセリフでケンシロウは思い出したようです。


 ―どこかの修行場で、子供時代のケンシロウは十人連続組手にチャレンジしていました。
 そこには聖帝になる前のサウザーと、拳王になる前のラオウも観戦しています。

 

 「ラオウ、北斗と南斗との他流試合の掟、やつに教えてあろうな」
 
 「無論だ!」

 「ラオウ、貴様何を考えている…ケンが強くなるのを望んでいるのか、それとも邪魔になっ
 たか!」

 「………」 

 「まあいい…だが小僧が負けた場合、生きてこの場を出ることはかなわぬ!かまわんのだな!」

 「かまわぬ!」

 リュウケンのいないところで暴走するラオウ!

 「ケンシロウの素質に惚れたかラオウ…
 フフフ聞いたかシュウよ。これは面白いことになってきたわ!」

 
 
 「………」
 まだ目の見える頃のシュウは大層なイケメンでした。

 

 シュウは試しにケンシロウに殺気を放ちましたが、ケンシロウは戦いの最中これを敏感に
 察知しました。

 ケンシロウの才能にほだされたシュウは、自らを十人目の相手として名乗り出ます。

 「お前の名は」

 「ケンシロウ」

 「最後の十人目はこの私だ。かかって来い!」

 飛び掛かるケンシロウ。しかしまだ子供のケンシロウには強大すぎる相手でした。
 
 「フフフ…最後の相手が悪すぎたな」
 サウザーはにんまり。

 「うむ」
 ラオウも異存ないようです。何やら出る杭を打つようでハラハラします。

 「よし!止めを刺せ!他流の敗者がここから生きて出ることはかなわぬ!」
 その理屈だとケンシロウに負けた九人も殺されちゃうわけですが、大丈夫でしょうか。

 「あ…ありがとう。十人目の相手があなたでよかった」
 ケンシロウは圧倒的な実力差で敗れたので、悔いはないようです。

 南斗槍部隊がケンシロウを処刑しようとしたその時、シュウの乱心が始まりました。

 「この少年は殺させぬ!」

 「シュウ、たとえ貴様でも勝手なことは許さんぞ!」
 ヤングサウザーもここは譲れないところ。
 
 「この少年は誰よりも強く激しく光る可能性を秘めている」

 「掟は掟だぞ!」
 委員長のようなサウザー。

 「ただで命をくれとは言わぬ!代わりに」

 そう言うと、シュウは自らの目を切り裂きました。

 「俺の光をくれてやる!」

 こうしてシュウは盲目となったのです。

 「これで文句はなかろう」

 そう言うと、シュウはケンシロウを抱えて出て行きました。

 「……忘れていたわ…奴が仁星の男であることを。
 それにしてもシュウのくすぶっていた仁星の宿命を目覚めさせるとは」
 
 (ケンシロウ、お前は俺が考えていた以上に…)
 ラオウもケンシロウの大器に心を揺さぶられたようです―

 
 「シュウ、やはりあなたはあの時の」 

 「私は間違っていなかった。
 私が失った光よりも、お前は強く激しく光り始めた!」

 目が見えぬ代りに心が開いたシュウ。
 これも仁星…未来への希望に生きる宿命なのです。

 
 とりあえずアジトに戻ることにした一行。
 リンとバットはちゃっかりついていくことにしました。
 まあ子守りのレイが死んでしまった今となっては、ケンシロウが後見人になるほかありま
 せん。
 

 


 かつて地下鉄が通っていたところに、レジスタンスのアジトはありました。

 まずは聖帝について細かい打ち合わせの確認です。
 南斗六星拳の崩壊はユダの野望で始まったのですが、実は妖星を動かしたのはサウザーな
 のだそうです。

 サウザーの星は極星南十字星、またの名を将星、独裁の星!
 肉親も友も情けもない、あるのは己ひとり、生まれついての帝王の星なのです。

 他の五星は将星の衛星に過ぎません。
 つまり南斗聖拳ではサウザーを倒すことは出来ないのです。
 せめて反旗を翻り、ゲリラ作戦に出るほかありません。

 
 話が一段落ついたところで、子供がシュウに食料を持って来ました。 

 「お前は食べたのか」子供に詰問するシュウ。

 「あ…はい!」

 「嘘をつくな。私には人の心がわかる。みんなで食べなさい」
 シュウは仁星の名にふさわしく、優しいのです。


 「食料はいずれ底を突く、何とかしなければ…」
 そこへ支部隊が戻って来ました。

 しかも聖帝の食料調達隊から強奪した食料付きです。

 シュウも安心して食べようとしますが、すんでのところで毒が入っていることを見抜きま
 した。 

 慌てて皆を止めましたが、時すでに遅く、子供が一人犠牲になってしまいました。

 ケンシロウは慌てて治療しようとしますが、最早どうにもなりませんでした。

 「すまぬ…私が先に調べるべきだった…」
 シュウは自らを責めます。

 「ケンよ…これが聖帝のやり方!
 光を失った役立たずのこの目でも、涙だけは枯れぬ!」

 聖帝を倒さぬ限り、この悲劇は永遠に繰り返されるのです。

 こうしてケンシロウのハートに火が点いたのでした。


 ここは聖帝十字陵前、聖帝の視察が行われようとしています。
 
  
  
 道にいる人々を土下座させ、うっかり立ちあがってしまった人には「汚物は消毒だー!」
 と燃やすモヒカン。

 そんな中颯爽と現れたのは聖帝サウザー。

 巨大なバイクの後部に腰かけ、脚を組む聖帝。まさに悪の帝王にふさわしい貫禄です。

 とりあえずケンシロウはモヒカンから火炎放射機を奪い取り、汚物を消毒してサウザー
 と対峙しました。

 

 「ほう…でかくなったな小僧…」

 「お前の行進もここで行き止まりだ」 

 「フン、でかい口をきくようになったな小僧」
 確かにでかい態度です。

 まずは前哨戦とばかり、聖帝側から二人の敵が現れました。

 南斗双斬拳を使う二人は、投剣で相手を挟んで攻撃するのです。

 
 
 はいっはいっ!掛け声の合間に会話する器用な二人。

  ケンシロウは挑発するようにど真ん中でこれを回避。
 二人はどんどん近付いてくるのですが、間近に迫ったところで秘孔を突いておきました。

 「一つ忠告しておく!その投剣を使うのはやめておけ!」

 もちろんそんな忠告は聞くはずもなく、ケンシロウもわかった上で言ったセリフでした。

 案の定二人は投剣を再開しますが、先程の秘孔は目の遠近感をなくすものだったので、二
 人は仲良く投剣に刺さって昇天されました。

 
 「フ…確かに強くなった…どうやらラオウが惚れた素質が目覚めた様だな」

 いよいよサウザーとの直接対決です。

 
 …その前に、ラオウはアジトでケンシロウVSサウザーの知らせを聞いていました。

 
 テイスティング真っ最中のラオウ。

  

 

  とりあえずワインを飲みほして喉を滑りを良くしてから、まだ早い!と一喝。

 
 こちらはサウザーVSケンシロウの現場。

 「かかってくるがいい!」サウザーは構えもせず仁王立ちです。

 「なぜ構えぬ!」

 「俺の拳南斗鳳凰拳に構えはない!構えとは防御の型!我が拳にあるのは制圧全身のみ!」

 そういうとサウザーは恐るべき速さで踏み込んできました。

 ケンシロウもなんとか応戦しますが、よけきれずに何発か喰らってしまいます。

 しかしここからがケンシロウの主人公補正の真髄、

 「お前の拳は既に見切った!」

 
 場面変わって再びラオウのアジト。
 
 部下は拳王にこれほど傷を負わせたケンシロウなのに、なぜ勝てないのかと質問します。

 「確かにケンシロウは一度相手の拳を見ればその拳を見切れる能力を持っている
 力はサウザーよりケンシロウの方が上かもしれぬ!」

 
 ここでラオウはグラスを割ることで強調性をアピール。

 「ある謎を解かぬことにはケンシロウは勝てぬ!
 その謎こそ私が聖帝との戦いを決しなかった理由なのだ!」

 要するに謎がわからないうちは戦っても負けるというわけです。

 
 果たしてその謎とは?ケンシロウは見抜くことが出来るのでしょうか…

 
 「見切っただと…
 よかろうフハハハハ
 ならばもう一度極星十字拳を受けてみるがいい」

 サウザーは自信満々で突っかけますが、言葉通り拳を見切ったケンシロウはサウザーの秘孔
 をこれでもかと連打、連打。

 「秘孔人中極を突いた。
 秘孔の中で最も破壊力を持つ必殺の秘孔。
 貴様の命はあと三秒!」

 「面白い、ならその三秒数えてやろう!
 ひとーつ、ふたーつ、みいーつ!」

 「む!」
 まさかの秘孔不発でケンシロウがぼさっとしているところ、サウザーの拳がケンシロウを斬
 りつけました。

 「この体には北斗神拳は効かぬ!俺の体は生まれついての帝王の体!誰も俺を倒すことは出
 来ぬのだーッ!」

 恐るべきサウザーの肉体。秘孔が通じないとなると北斗神拳の効果は九割減です。

 「バ…バカな!確かに秘孔を突いたはず!」

 「フフフ…ラオウが今日まで俺との戦いを避けていたわけがわかったか
 俺は帝王!貴様らとはすべてが違う!神はこの俺に不死身の肉体までも与えたのだ!」

 それでもケンシロウはなんとか秘孔を突きますが、秘孔を突きながらサウザーの拳をかわ
 すことはできません。

 「確かに拳の勝負には貴様が勝った!
 拳の速さ、寸分狂わぬ秘孔への突き!さすが伝承者だ!」

 「だが!貴様はこの体に流れる帝王の血に負けたのだー!」

 
 こうしてケンシロウは完膚なきまでに叩きのめされ、地下の牢獄に繋がれてしまいました。

 シン戦以来二度目の完全敗北です。

 聖帝は敢えて止めを刺さず、聖帝十字陵の人柱にするつもりのようです。

 
  そしてサウザーは豪華な食事をするのでした。

 

 子供たちも(あんなに一人で…)と唾を飲みます。当然一人で食べきれる量ではありません。

 

 「今日のは口に合わぬ!」
 派手にテーブルをひっくり返す聖帝。

 子供の一人は落ちたチキンをこっそり取ろうとしますが、モヒカンに蹴飛ばされてしまいま
 した。
 
 「貴様らが飢えても帝王は飢えぬ!貴様らが死んでも帝王は死なんのだ!
 それが選ばれた王の権勢というものなのだーっ!」
 非情なるモヒカンの演説。そんな中蹴飛ばされた子供をそっと抱き起こす子供がいました。

 
 サウザーの腹の虫が鳴り響く頃、ケンシロウの繋がれた獄では先程子供を助けた子供が、
 こっそり侵入していました。

 子供は瞬く間にモヒカン衛兵二人を棍棒で眠らせ、ケンシロウを救出します。

 この子こそ、シュウの一人息子シバでした。

 シバは傷ついたケンシロウを抱えて、なんとか脱出です。

 「な…なぜだ、なぜ俺を…」

 「私は父からずっと聞かされていました。聖帝サウザーを倒せるのはこの世でただ一人、
 ケンシロウという男であることを!」

 しかし一人で歩けないケンシロウを抱えては逃げ切れそうにありません。

 「あなたが助かるのであれば後悔はしません。
 私も父と同じくあなたを信じます。」

 そこへバイクの音が聞こえてきました。追手のようです。

 シバは囮になると言いました。

 ケンシロウは慌てて止めようとしますが、 

 

 「ケンシロウさん…さらばです!」
 シバは一人で行ってしまいました。

 壮絶に散るシバ。
  
 「お…俺はシュウだけでなくその息子にまで命を…!」
 ケンシロウは涙を流しますが、瀕死のため意識を失ってしまいました。

 
 そこへ現れた黒い影、なんとラオウがケンシロウを助けてあげました。

 「ケンシロウよ…お前はまだ死ぬ時ではない!
 お前にはこの拳王のためにサウザーの謎を解いてもらおう!」
 
 
 ケンシロウが気付くと、そこにはリンとバットの顔がありました。

 しかし手当てをしたのはリンとバットではないそうです。
 
 「ただケンの横に大きな馬の蹄の跡が…」

 まさかラオウが?とケンシロウも首をかしげます。
 ラオウが甲斐甲斐しく手ずから包帯を巻いたのでしょうか。

 とにかくシュウに会いに行くことにしました。

 「すまぬ…俺には言葉が見つからぬ」

 「褒めてやってください。
 私も今我が息子シバを褒めてやっていたところです。
 あなたは何も気にする必要はない。」

 「シバにも仁星の血が流れていた…私はシバを誇りに思っているのです。」

 その言葉に、ケンシロウはただただ拳を握り締めるのでした。

 
 その頃レジスタンスの支部ではシュウからの食糧が運び込まれていました。

 …と思いきや、中から出てきたのは聖帝先遣隊。
 なすすべなくやられるレジスタンス。

 サウザーは女子供百名だけ人質に取り、後はすべて殺すよう指示します。
 
 また、同じころシュウの本部へも聖帝の部隊が迫っていました。

 しかしケンシロウはまだ戦える状態になく、おまけに睡眠薬で眠りについています。

 シュウは地下の水路にケンシロウを乗せた船を浮かべました。

 「たしか命を救った時のケンシロウはシバと同じくらいの年であったろうか…
 一目だけでもお前の成長した顔が見たかった。」

 「たとえこの身は死すとも、我ら親子は南斗の星となってお前を見ているぞ」

 さらばだ!後のことはリンとバットに託し、シュウは去って行きました。  

 
 そしてシュウはサウザーの前にさっそうと現れました。

 「フ…ついに出てきたか。ドブネズミの親玉が!」

 「たとえ貴様を倒せなくとも阿修羅となって戦おう!この命尽きるまで!」

 まずは雑魚の皆さんが集団で襲いかかりますが、阿修羅となったシュウに死角はなく、
 あっという間に片付けてしまいました。

 
 雑魚を片づけているワンシーン

 
 シュウはサウザーに飛び掛かり、渾身の突きを繰り出しましたが、これは避けられてし
 まいました。

 ところがサウザーはシュウにもう一度突いてみろと言います。

 百人の人質を見捨てることが出来るなら、抵抗しないから突いてみろと挑発。

 人質達はサウザーを倒して、と懇願しますが、仁星のシュウにそんな真似が出来るはずあ
 りません。

 シュウの思いを読み切ったサウザーはシュウの足の筋を斬り、白鷺拳を奪い取ります。

 さらにここにいる人質百人以外は全員殺せと非情なる命令。

 「俺はアリの反逆も許さぬ!帝王を支えるのは情ではない!
 どんな反逆も許さぬ血の粛清なのだ!
 仁星がいかに輝こうとも貴様一人の力では人を助けることは出来んのだ!」

 こうしてシュウは連行されてしまいます。

 「ケ…ケンシロウ、
 聞け!わが魂の叫びを!
 ケンシロウー!!」

 
 この声をなぜかリンがキャッチしたような気もしますが、ケンシロウもピクッと動きました。

 一方同じ地下水道では、ケンシロウに追いつこうとする父子がいました。
 しかしモヒカンに掴まり、子供が殺されそうになったその瞬間、ようやくケンシロウが目覚
 めました。

 「シュウが…シュウが呼んでいる!」

 ケンシロウは聖帝十字陵に向かって歩きます。
 途中モヒカン達が襲ってきますが、基本的に虐殺しながら進みます。

 途中身の程知らずが出てきましたが、


 


 

 
 面白い断末魔で片付けました。

 モヒカンたちは聖帝の十字拳で切り刻まれているはずなのに、なぜ動けるのかという疑問を
 口にしますが、その秘密はバットが知っていました。

 「仁星がケンを揺さぶり起こしたんだ。
 今のケンを誰も止めることは出来ない!あの胸の傷も流れる血でさえもな」 
 
 その言葉通り、はあっ!とケンシロウが気合を入れると、見る見るうちに胸の傷が塞がりま
 した。北斗神拳究極奥義主人公補正で完全復活です。

 
 その頃十字陵ではシュウが鞭でシバかれていました。

 「皮肉なことだなシュウ…
 この俺に反旗を翻してきた貴様も俺の足元にひれ伏した。
 そして貴様の手でこの聖帝十字陵を完成させるのだ」

 非情なるサウザーは四人がかりで担ぐ聖碑を一人で頂上まで運べと指示しました。
 
 
 こちらはラオウの居城。
 今だケンシロウ戦の傷が癒えないラオウは石を握りつぶして回復の度合いを測っていました。

 そこへ部下がケンシロウ再び聖帝の元へ、という知らせを持って来ました。

 「バカめ!なぜ死に急ぐケンシロウ。
 まだサウザーの体の謎を解いてはおるまい。
 だが二度は助けぬ!」

 …と、そこへ現れたのは意外にもトキ!

 「死期が近付くとなぜか勘が冴えてな」

 勘でラオウの居場所を察知する恐るべきトキ。
 
 ラオウはケンシロウももはやこれまでかもねと案じますが、
 トキはそんなら俺らも十字陵に行こうぜと言います。

 「私はサウザーの謎を知っている!」

 冴えわたるトキの勘!恐るべしトキの勘!
 これは北斗三兄弟VSサウザーの様相を呈してきました。

 
 シュウは聖碑を担がされました。
 その重みに傷ついた脚は悲鳴を上げます。

 「落とせばガキどもは皆殺しだー!」

 
    
 仁星の男として、決して落とすことはできません。
 シュウは聖碑を抱えて十字陵を登り始めました。

 「いずれケンシロウは現れよう!その時こそ北斗神拳の伝承者を土台に、聖帝十字陵は
 盤石のものとなるのだー!ハァーッハハハ!」

 最後まで逆らったシュウの手により十字陵が完成するという皮肉。

 傷ついたシュウは倒れそうになりますが、「この岩をお前たちの命を思えば重くはない」
 と子供達に微笑みました。

 
 そのあまりに苛烈な状況に、サウザーの部下でありながら、シュウのかつての友人リゾは
 矢も盾も止まらずシュウに駆け寄りました。 

 せめてシュウの傷に包帯を巻くことを願うリゾ。

 しかし非情なるサウザーはリゾの家族全員の命と引き換えだと言いました。

 「その気持ちだけで十分だ。
 皆も聞くがよい。今動くことはない。
 お前たちの中にある心が動いただけで十分だ。
 その心がいずれこの世に再び光をもたらすであろう。
 心一つ一つが大きな束となった時に」

 シュウの言葉に、子供たちは目を伏せることをやめ、シュウの姿を目に焼き付けることにし
 ました。

 「せいぜい泣き悲しむがよい…
 俺には見える。お前たちの悲しみが野を駆け巡り、ケンを再び俺の下へ呼び戻すのが!
 そして奴は俺の謎の前に倒されるのだ」

 その頃レジスタンスの男たちはケンシロウの下へ走っていました。

 それを阻むため登場したモヒカン達でしたが、運悪く北斗兄弟とバッティングしてしまい
 ました。

 秘孔とか関係なくパンチで撲殺するラオウ。
 有情拳で気持ち良くさせたまま昇天させるトキ。
 
 ラオウもトキ、恐ろしい子…!と称賛を隠しません。

 
 遅れて現れたケンシロウは、そんなジェノサイドの現場を見て「仁星の涙が北斗を呼ぶ…」
 とあんちゃんたちの到来を言い当てるのでした。

 
 一方シュウはいよいよあと一段のところまで来ました。

 そしてとうとうケンシロウの到来を感じたのです。

 モヒカンを爆発させながら登場したケンシロウ。
 「雑魚に用はない!」とモヒカンたちのアイデンティティーを揺らがせます。

 しかも同時期にラオウとトキまで来てしまいました。

 「道をあけるがよい!
 ケンシロウの道を阻む者はこの北斗の長兄と次兄が許さぬ!」
 トキの一喝にモヒカンたちは素直に道をあけました。

 
 「たかが三人で何が出来る!
 ちょうどいい機会だ。北斗三兄弟まとめて聖帝十字陵の土台にしてやるわ!」
 まだトキが謎を知っていることを知らないサウザーは全く意に介さず、兄弟を団子扱いです。
 
 「シュウ、今行くぞ!」  
 ケンシロウは駆け寄ろうとしますが、
 「シュウに手を出せば人質のガキどもは皆殺しだ!」
 とサウザーに止められてしまいました。

 ケンシロウは「ならば貴様の息の根を止めるまで」と反抗しますが、意外にもシュウがそれを
 止めました。

 「この石は百人の人質の命、そして南斗六星拳の乱れを防ぐことのできなかった私の痛み!」
 「どこまでも愚かな奴よ。六星の乱に責を感じておるとは」

 シュウが頂上に辿り着いたところで、モヒカンが足枷をはめました。

 「サウザーよ、この石を抱えたままこの場で死ねというのか!」
 「その通り」

 シュウは散って行った六星のため、聖碑を積むことを決意しました。

 「だがこの十字陵はいずれ崩れ去る。北斗神拳伝承者の手によって!
 それが南斗の宿命、南斗は天帝の星として輝かず!」
 
 次の瞬間、シュウの体をモヒカンたちの矢が貫きました。
 
 思わずケンシロウは走り出しました。

 「ケンよ…ど…どうやら私の命もここまで!
 ひ…一目見たかった…お前の成長した姿を!」
 
 ケンシロウがシュウに辿り着くまさに直前に、サウザーの投げた槍がシュウを貫きました。

 その時、奇跡が起こりました。

 シュウの視力が再び戻ったのです。

 「な…なんということだ。
 神が最期に一つだけ願いを叶えてくれた!
 わ…我が息子シバの面影が見える!」 

 「も…最早悔いはない。
 私の…仁星の血は間違っていなかった!
 ゆけ!ケンシロウ、そして時代をひらけ!
 私はいつもお前を見ているぞ」

 「さ…さらばだ!」

 そしてシュウの担いでいた聖碑は、頂上に積み上がり、十字陵は完成しました。

 ケンシロウは聖碑にすがりつき、シュウの名を叫びました。

 「見事だシュウ!」
 ラオウもシュウの最期に称賛を惜しみません。

 
 「俺の中で生きよ!仁星のシュウ!」
 たぎる思いを胸に、ケンシロウは立ち上がりました。  

 「サウザー!貴様の髪の毛一本もこの世には残さぬ」

 「フ…その遠吠えが貴様の最後の遺言となる!」

 さあケンシロウVSサウザーの第二ラウンドが始まりました。
 サウザーの謎を全く解いていないケンシロウに勝ち目はあるのでしょうか。

 「南斗乱れる時、北斗現ると聞く…
 ならばお前と闘うのが俺の宿命。
 人質などいらぬ!今こそ南斗と北斗の決着をつける時だ!」

 サウザーは一人の武人として真っ向勝負を選びました。

 マントを投げ捨て、セクシーな衣装ででケンシロウににじり寄るサウザー。

 
 
 「この石段はシュウの悲しみ!そして貴様が今まで積み重ねてきた罪の重さ!
 一歩一歩噛み締めて登ってくるがいい!」

 「そうではない、この石段は北斗神拳終焉への秒読み!」

 互いに譲らない両者。
 サウザーは一歩一歩歩を進めます。
 そのとき、階段に並ばされていた子供の一人が、シュウへの想いから隠し持っ
 ていたナイフでサウザーの足を突き刺しました。


 やってしまってから事の重大さに気付いた未成年でしたが、意外にもサウザー
 は子供に手をかけません。

 「見ろこのガキを」
 サウザーはナイフを引き抜くと、自分語りを始めました。

 「シュウへの想いがこんなガキすら狂わす!愛ゆえに人は苦しまねばならぬ!
 愛ゆえに人は悲しまねばならぬ!愛ゆえに…」



 みなしごだったサウザーは先代伝承者オウガイに拾われ、子のなかったオウガイ
 はサウザーを実の子のように育てました。

 二人で暮らた過ぎ去りし日々。修業は厳しかったけれど、それは幸せな日々でした。

 サウザーが15になったとき、目隠しをしたまま襲いかかる敵を倒すという修業が
 ありました。

 それは伝承者の試練、乗り越えなければならない壁なのです。

 強くなったサウザーは襲いかかる敵を見事に討ち取りました。
 
 目隠しをとったサウザーが見た光景、それはサウザーに打ち取られた師匠の姿でした。

 「お…お師さん!」

 「み…見事だサウザー!」

 南斗鳳凰拳は一子相伝の拳法。北斗神拳のようにやたらと使い手が多いニセ一子相伝とは
 異なり、伝承者が新たな伝承者に倒されていくのが宿命なのです。

 「悔いはない…わしは…わしは、お前の瞳の中に極星南斗十字星を見ていたのだ…」

 そう云ってオウガイは息を引き取りました。

 「な…なぜ」
 
 こんなに悲しいのなら、苦しいのなら…愛などいらぬ!

 この日からサウザーは愛を捨てたのでした。

 

 「帝王に愛などいらぬ!歯向かう者には死あるのみ!」

 「ならば、俺は愛のために闘おう!」

 愛を捨てた男VS愛のために闘う男、果たして勝敗の行方は?

 
 十字陵の階段でにらみ合う二人。
 それを見たサウザーの部下が、この隙にケンシロウに矢を射ろうとしますが、
 「この戦いを汚すものは許さぬ!」とラオウの北斗こっち向いてホイで阻止されました。

 

  
 「何度挑もうが北斗神拳ではこの聖帝を倒すことは出来ぬ!滅びるがいい、愛とともに!」
 
 「愛は滅びぬ!」

 ケンシロウはサウザーの突きをバク転で交わし、そのまま体を裂く蹴りでサウザーに一太刀
 浴びせました。

 こ、この動きはシュウ!

 「ケンシロウ…なぜ北斗神拳を使わぬ?」ラオウも首をかしげましたが、知能派のトキが
 「シュウの死に報いたのだ」と教えてくれました。

  
 「せめて一傷…貴様の体にシュウの拳を浴びせたかった」

 「だが貴様を倒すのはあくまでも乱世の拳!北斗神拳!」まあ白鷺拳じゃ倒せませんからね。

 そんなケンシロウの情を、サウザーは「どこまで悲しみを引きずっていくつもりか!」と
 嘲笑います。

 「聖室を開けーい!」ここでサウザーは十字陵の不思議のその一端を披露しました。

 そこにはミイラ化した師、オウガイの遺体が安置されていました。

 「この十字陵は偉大なる師オウガイへの俺の最後の心!そしてこの俺の愛と情の墓でも
 あるのだ!」
 
 悲しみ引きずりまくりのサウザー!それにしても巨大な愛と情です。


 「貴様の拳では血を流すことは出来ても、この帝王の血を絶やすことは出来ぬ!」

 「言ったはずだ、貴様の髪の毛一本もこの世に残さぬとな!」

 さあ突いてこい!と襲いかかるサウザー。ケンシロウも頑張ってあたたたたと蹴ります
 が、いかんせん体の秘密に気付いていない以上効果はありません。

 「効かぬなあ、クククなぜ効かぬのかわかるまい」 
  
 遊びは終わりだ!と襲いかかるサウザー!ケンシロウはとりあえず両胸を突いてみまし
 たが、指が第二関節まで入ったところで、筋肉の力により止められてしまいました。
 指を押すことも引くこともできず、困ったケンシロウはとりあえず持ち上げてみました。

 

 そこに流れるサウザーの鼓動を感じたケンシロウは、何かに気付いた表情をしました。

 しかしのんきにサウザーを持ちあげたままだったので、十字カッターで切り裂かれてし
 まいました。

 階下に吹き飛ばされるケンシロウ。これはなかなかダメージが大きいです。

 
 「ぬう…やはりケンシロウでは勝てぬのか…」ラオウも心配顔です。戦っても勝てませ
 んからね。

 「次は誰だ、トキかラオウか!」 
  
 こんなことを言われてはラオウも黙っているわけにいきません。
 「おごるなサウザー!貴様の体の謎はトキが知っておるわ!」
 とガッツリ言い返しておきました。

 そしてトキが十字陵に歩み寄ったとき、ケンシロウがなんとか復活しました。

 同時にサウザーの額から出血が始まりました。
 
 「も…もしや秘孔を!」

 「サウザー!貴様の体の謎は見切った!」

 謎を見切ったことで安心して服も破れました。いよいよ反撃です。

 
 「お前の鼓動と血の流れが俺に謎を解かせた!」

 「なにをたわごとを!」と不安げに強がるサウザーでしたが、突然右肩が痛くなりました。

 「心臓の位置も逆、そして秘孔の位置も表裏逆!それがお前の謎だ!」

 素直なサウザーはばれたか、と顔に出してしまいました。

 「ならばこちらも南斗極星の拳の伝承者として奥義を尽くさねばなるまい!」

 そういうとサウザーは構えを取り始めました。

 「南斗鳳凰拳に構えが…!」ラオウも興奮しています。

 「南斗鳳凰拳奥義、天翔十字鳳!」

 帝王の拳、鳳凰拳には通常構えがありませんが、対等の敵が現れた時、虚を捨てて立ち向かう
 ため、切り札として立ち向かうための奥義があるのです。

 「ならばその礼に応えてやろう!」ケンシロウも構えを取り始めました。

 「ぬ!これは北斗神拳秘奥義天破の構え!」ラオウもすっかり解説が板につきました。

 「天破の構え…北斗七星は天の守護神、天乱れたとき、天をも破ると言われる北斗神拳
 究極の秘奥義!」トキも負けていません。


 二人の秘奥義に、天も興奮して雹を降らせ始めました。

 
 本気になったサウザーが飛び掛かって来ました。

 ケンシロウはカウンターを繰り出しますが、物理的にあり得ない避け方をされてしまい
 ます。

 
 
 再び舞うサウザー。ケンシロウも無闇と突きを繰り出しますが、物理攻撃無効という
 恐るべき奥義にいま一つ調子が出ません。

 こりゃサウザー優勢だなと思いきや、解説の二人はケンシロウの勝ちを予想していま
 した。

 「とどめだケンシロウ!」三度舞うサウザー!
 しかしケンシロウに同じ手は何度も通じません。

 向こうが物理法則を無視した回避能力を見せるなら、こちらも物理法則を無視するま
 でのこと!

 繰り出されたは北斗ビーム!なんと相手に触れずにビームで秘孔を突くという防ぎよ
 うのない奥義なのでした。

 「将星堕ちるべし!」どうやら勝敗の雌雄は決しました。
 秘孔を突かれたサウザーの脚は封じられてしまったのです。

 サウザーはビームでは正確な秘孔の位置はわかるまい、と強がりますが、先刻のビー
 ムの影響でサウザーの体の秘孔が剥き出しになってしまいました。これでは秘孔突き
 放題です。

 それではサウザーは「退かぬ、媚びぬ、省みぬ!」と腕力で宙を舞いますが、レイの
 最期の舞いを見ていたケンシロウには通じませんでした。

 剥き出しの秘孔を思う存分突いたケンシロウ、さて気になる奥義は…
 なんと有情猛翔破!相手に快楽を与えて昇天させるという、トキお得意の優しき奥義
 でした。

 


 「さ…最期にお前に聞きたいことがある。愛や情は哀しみしか生まぬ…
 なのになぜ哀しみを背負おうとする、なぜ苦しみを背負おうとする」
   
 「哀しみや苦しみだけではない。お前も温もりを覚えているはずだ」

 「温もり…」

 その言葉でサウザーの脳裏にはオウガイとの温かな日々が去来しました。

 邂逅を得たサウザーの顔からは険が取れ、子供のように素直になりました。
 そしてサウザーはオウガイの下へ行き、師にすがったまま息絶えました。


 「哀しい男よ。誰よりも愛深きゆえに」

 そのとき図ったように、十字陵が崩れ始めました。
 ケンシロウは崩れるタイミングを計りながらゆっくりと降りて行きました。
 
 
 やはり子供に建てさせたのが悪かったのか…脆すぎた十字陵なのでした。
 
 「ケンシロウ…もはや私が手を貸す男ではない」トキもケンシロウの成長に目を見張って
 います。

 「(我が生涯最強の敵がまた一人!)」ラオウもケンシロウの力を完全に認めました。

 ラオウは撤収しようとしたところ、トキにどこへ?と言われたので「再び天へ!」

 「トキ、いずれ貴様とも闘うことになろう!二人の敵、貴様とケンシロウを倒さぬ限り
 天は握れぬ!また会おう!」
 そう言い残し、ラオウは帰って行きました。

 
 それにしてもトキはどうやって謎を知ったのかが、一番の謎です。

 聖帝サウザー編 終